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桂 三木助の「芝浜」

「舟遊びでの白魚の受け取り方」の枕噺
 私が子供の頃、一度聞いただけで虜になった落語の噺があった。
 当時私は10歳前後で、勿論ラジオ放送で落語の番組も多かったが、何とも知らぬその噺は、一度聞いただけで私の記憶の底に深く沁み込んだ。
 話の枕にあった「舟遊びでの白魚の受け取り方」の話や、「増上寺の鐘は金が入えっているから」とか、海岸で一服している時に朝日が上がってくる情景とか、「笹がさらさら言ってたが雪が降ってきたのか・・・」とか、噺の落ちである「よそう、また夢になるといけねぇ」とか、噺のそれぞれの細部の情景が記憶の底に沁みついたのだ。
 成人してから、私は自分の記憶に残っているそれら噺の細部の情景を頼りに、元となった噺が誰の何であるかを探しまわった。どうも「芝浜」という噺らしいということは、比較的早くに分かった。しかし演者が桂三木助(3代目)だったと分かる迄には、相当の期間がかかった。特に三木助の「芝浜」といっても、当時は30分近くに短く編集し直したカセットテープとか、その短く編集したテープから起こした落語本とかが三木助の「芝浜」として出回っており、私の記憶に残っていた全ての細部を演じている噺は、三木助の「芝浜」にも見つからなかった。
 しかし、当時出回っていた「芝浜」の多くを聞いた結果、どうやら桂三木助の「芝浜」らしいという事は分かってきたが、噺の枕で、「翁の句に 曙や白魚白きこと一寸」から直ぐに「おまいさん、起きておくれよ」になってしまって、私の記憶にある「舟遊びの時の白魚の受け取り方」の話を実際に演っている三木助の「芝浜」には、なかなか出合えなかった。
 さらに桂三木助が1954年に、「芝浜」の噺で文部省芸術院奨励賞を受けたと知って、心深く感じた事もあった。

「革財布」・「笹飾り」・「増上寺の鐘」の3題噺

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