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G・グールドのワルトシュタイン

グールドが登場してきた時の印象は鮮烈だった。
それまでのバッハの「ゴールドベルグ変奏曲」は、一部の演奏家を除くと、チェンバロの変奏曲のどちらかと言うと退屈な羅列であった。
ところがグールドは、この32の変奏曲の一曲一曲のどれもが、それぞれの輝きをもった変奏曲である事を、説得力ある解釈と演奏で教えてくれたのだった。
当然当初は、「この変奏曲を勝手にこんな弾き方をして良いのか?」という批評家も少なくなかった。
極く一部の人だけが彼の「ゴールドベルグ変奏曲」を評価したが、多くには無視された。更に中には、それまでのバッハの演奏に携わっていた人々を中心に、不評とグールドの演奏スタイルに対する酷い揶揄で笑い物とされた。
私にとってグールドの魅力は、コンサート用の演奏になっていたバッハの音楽を、それが作られた環境に合わせて
再構成して見せたところにあった。

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